ANAとPeach「コードシェア」で利用側のメリットを考えた

ANAが、傘下のLCC「Peach」(ピーチ・アビエーション、以下ピーチ)との共同運航を、2021年6月2日に発表した。具体的には、Peachの「一部」の便に、ANAの便名が付いて運航される。いわゆる「コードシェア」だ。2021年8月下旬から開始予定。

ANAは、国内線だとこれまでも、ソラシドエア、AIRDO(エアドゥ)、スターフライヤー、IBEX(アイベックスエアラインズ)などと共同運航をしてきた。ただ、今回のピーチは「LCC」であり、大手とほぼ同じサービスを提供する他社便とは、利用者の立場からも異なる点が多々ある。ピーチに乗ったことがない、ピーチの「基本」を熟知していないと、大変な目に遭う可能性も否めない。

ANAとPeach、共同運航は「一部」の便のみ。関空発着ゼロ

まず、ANAがピーチの便で共同運航するのは、以下の5路線のみ(2021年6月発表分)

■ 東京(成田)=札幌(新千歳)、福岡、沖縄(那覇)
■ 名古屋(中部)=札幌(新千歳)、沖縄(那覇)

すべての便が対象ではないことがポイント。特に、ピーチが就航当初から拠点とする「大阪(関西)」の路線はゼロ。それは現段階では謎だし、そのうち加わるかもしれない。個人的に、後者の可能性もあると考えている。

「ANAのマイルが貯まる」のがメリット、詳細は今後発表

サービスなどの詳細は、現時点では「後日発表」となっている。その中ですでにはっきり決まっていることが、以下。

  • NH便名で購入すると「ANAのマイル」が貯まる
  • コードシェア運航の開始は「8月下旬」、販売開始は「8月上旬」(予定)
  • 「ANAマイルからPeachポイントへの交換」も継続

特に、ピーチに乗ってANAのマイルが貯まるのが、最大のメリット。マイル(とプレミアムポイント)を少しでも貯めたい人には朗報だ。ただ、対象はあくまで、NH便名で航空券を購入した場合のみ。当然ながら、ANAの特典航空券ではマイルは貯まらない。

ソラシドエアやエアドゥなどに乗る場合、まったく同じ便をNH便名で買うことがある。その時は必ず、購入前に「直接買った場合」「ANAから買った場合」で、運賃を比較する。ANAから買う場合のほうが高いことが大半だが、ANAで上級会員なので、「価格差」に加えて「出発空港のラウンジ」「優先チェックイン」などの有無、貯まるマイル数など総合的に見て決めている。例えば、スターフライヤーで、東京=大阪で2,000円程度の差ならANAで買うし、5,000円以上高いならマイルはあきらめてスターフライヤーで買うか、他の便も調べる。

LCCであるPeachは、航空券の安さがメリットの1つ。「国内線1,980円」などのセール運賃も、本当によくある。ANAでその運賃が出てくるとは考え難く、Peachで最も高いプライムピーチ並みかあるいはそれ以上の運賃設定ではと予想できなくもない。

PeachでどこまでANAのサービスを受けられるか?

また、ANAに乗る時に通常受けられるサービスが、ピーチでもそのまま提供されるかは、かなり微妙。

  • 優先チェックイン、優先搭乗、優先手荷物受け取り→ない可能性が高い
  • ANAラウンジの利用→空港によっては可能かも?
  • 事前座席指定や機内ドリンクサービス→可能性は五分五分?
  • 受託手荷物→1個目から有料だが、NH便名で購入の場合は?
  • 大幅遅延や欠航時→ANAのルール適用?

PeachとANAの「違い」はたくさんある

ANAとピーチで、乗り方もサービスも、まったく違うということを肝に銘じなければいけない。JALとジェットスター以上といっても、決して大げさではない。特に「時間厳守」「手荷物」「座席」など要注意。

  • チェックイン(搭乗手続き)は基本「出発30分前」まで(ANAは20分前まで)
  • 保安検査場の通過は基本「出発25分前」まで(ANAは20分前まで)
  • 搭乗ゲートは「出発20分前」まで(ANAは10分前まで)
  • それぞれの締め切り後の搭乗は一切不可
  • 機内持込手荷物は「2個7kg以内」厳守
  • 座席間隔(シートピッチ)が狭い
  • 機内ドリンクサービスはすべて有料
  • ブランケットやまくらなどの貸出なし

【参考】JALとジェットスターの共同運航とサービス状況

ちなみに、JALとジェットスターは以前から、国際線乗継便の利用に限り、コードシェア便のサービスを実施している。対象路線も多い。ただし、「国際線乗継便利用時のみ」という制限がある。主なサービスは以下の通り。少し参考になるかもしれない。

  • 事前座席指定→「窓側」「通路側」のみ指定可
  • 国際線出発空港のみJALカウンターで優先チェックイン可
  • 手荷物は最終目的地まで預け可(帰国時は受取、再度預け要)
  • 成田空港では自力でターミナル移動が必要
  • ジェットスター路線の機内持込は「7kg」まで
  • 受託手荷物は国際線利用基準
  • ラウンジ利用可(成田空港以外)
  • 優先搭乗不可
  • 機内ドリンクサービス有料
  • JALのマイル、FLY ONポイント積算可

結論。LCCを先に知っておかないと痛い目に遭うかも

大手航空会社とLCCの共同運航は、JALが先行はしているものの対象者が限定され、日本でまだ浸透しているとは言えない。それぞれの「サービス」なども違いすぎるため、特に「LCC」がいかなるものかを知っておかないと、大手航空会社の感覚で利用すると痛い目に合うし、トラブルも何度も見てきた(自分の経験も含め)

ANAで予約したはずがピーチの便で、上級会員としての一連の特典サービスが受けられないどころか、機内持込手荷物オーバーでもめ、狭い間隔の座席で身動き取りづらく、のどが渇いてもドリンクはすべて有料で、機内が寒くてもブランケットも有料。下手したら、ギリギリに空港に着き、ANAなら20分前までOKなのにピーチはダメで搭乗できなかったということにもなりかねない。LCCを知らないと、このような事態に遭遇するかもしれない。

ただ、利用できる発着便の選択肢が増える、普段貯めているマイルがLCCでも貯められるのは、ありがたいサービス。実際に利用するかは「運賃」や「サービス」など次第になりそうだ。

【参照リンク】
Peachが運航する一部路線に、コードシェアを実施します(ANA プレスリリース)
JAL、ジェットスター・ジャパン コードシェア便サービスのご案内



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